月の記憶
(C)TEPPEI SASAKURA / ART TERRACE
月の記憶
~Memoy of the Moon~
シルクスクリーン
50.0*91.0cm
(2002年リリース)
人は同じ様な夢を繰り返しみると云うが、
私は、知らない街とか森の中を歩いている夢を時折みる。
”知らない”と夢の中では感じていても、恐らく過去に何らかの形で見て
記憶にひっかかっていたのだろう。
忙しく、疲れている時には、追いかけられて
いるような夢を見たりするが、ある日、珍しく心休まる夢をみたー。
深い森の中にいた。
見上げると、樹影越しにかつて見たことがないほどまばゆく輝きを放っている月が、
空にポッカリとあった。
その月に見惚れながら導かれるように足を進めていくと、
月の位置は動かず、樹々自らがつぎつぎ行過ぎていく錯覚を覚えた。
やがて、光に浮かび上がった小さな街が見え始め、その手前に
静かに川が横たわっていた。目覚める迄、ずっと流れゆく水に見入っていたのだが、
ふと「流れ続ける水は決して澱まない」という言葉が思い出された。
ーその後、絵として残したいと思い立ち、その記憶だけを頼りにデッサンを
していったが、時間とともに足早にイメージの尻尾は薄れていき、なかなか
”これだ”という一致をみない。
しかし、そんな中で月と樹影の印象はとても強く
残っており、まず先に絵の具で描いてみると、夢の中の月が行く手を
照らしてくれたように、その時の光景を徐々に呼び覚ましていってくれた。
この絵は、”月の記憶”が描かせてくれたのかもしれない。
笹倉鉄平
