プティ• ボヌール
(C)TEPPEI SASAKURA / ART TERRACE
プティボヌール
~Un Petit Bonheur~
シルクスクリーン
41.0*53.0cm
(2006年リリース)
南仏プロヴァンス地方に点在する村々を巡っていた時。
とある小さな村の一角で、店のガラス越しに
小さな絵が感じ良く掛けられているのが目に留まり、入ってみることにした。
雑貨屋か何かかと思っていたが、そこは花屋だった。
店内のスペースは、まるでリビング・ルームの様でもあり、
雑貨なども販売しているせいか、いわゆる花屋らしい花屋ではない。
唯一、それと気付かせてくれるのは、無造作に花を入れた数々のバケツだけだった。
思わずスケッチしたくなる様な、とても良い雰囲気だったのだが、
流石に店内に居座ってそんなことをするわけにもいかず、
その印象だけを目の奥に焼き付け、後ろ髪をひかれる思いで店を後にした。
しかし二日後、違う村で似た感じの花屋に再び出会うことになった。
そこは、アレンジメントを作りながら、ゆったり、のんびり構えていて、
またもや、“花屋らしさ”は薄い店だ。
なんだか、もう「描け」と背中を押されている様な気持ちになり、中へ入る。
今度は前にも増してゆっくりと店内を観察し、そのお礼の様な気持ちもあって、
小さな花束をひとつだけ買ってホテルへ帰った。
早速それを飾ってみると、その色彩の効果なのか、味気ない部屋の片隅が、
淡い灯りが燈ったかの様に優しく見えた。
それを眺めつつ、二つの店の気に入った所を基に、自分の理想などを混ぜ合わせながら、
想像の花屋と、その外の様子などをスケッチに起こしていった。
そして、中央に小さな花束を抱えている女性の”小さな幸せ”を描くことにした。
プレゼントか、食卓に飾るものか、はたまた自分へのご褒美かもしれない。
花に限らず、日常の中のこうしたちょっとした工夫と小さな贅沢への努力の積み重ねが、
暮らしに潤いや幸福感を広げていく。暗いニュースや、ストレスが多い世の中、
せめて自分の居住空間ぐらいは、心休まる気に入りの場所であって欲しいと思う。
笹倉鉄平
