エクリューズ浜
(C)TEPPEI SASAKURA / ART TERRACE
エクリューズ浜
~Plage de l`ecluse~
シルクスクリーン
34.4*91.0cm
(2006年リリース)
フランスはブルターニュ地方、海辺の保養地として知られるディナールの街。
岬の尾根の上には英国風メゾンの瀟洒な別荘が建ち並び、
美しく弧を描く海岸線を持つ、エクリューズ浜を擁している。
遅い午後の時間から、ぼんやり海岸を眺めていると、
潮の満干の差が大きいこの地方では、あれよあれよという間に潮が干いてゆき、
ついさっきまで波が打ち寄せていた遠浅の浜辺が、ドラマチックな変化を見せる。
ストライプの様な波痕の溝に海水を静かにたたえ、そこに暮れゆく空の色を映す。
非現実的な色へと染め上げられた砂浜に吸い寄せられる様に、その真ん中に立ってみる。
東の空を見れば、まだ昼の色を残して淡青く、
西の空を見れば、夕陽に晒された薄明の余韻の色彩がグラデーションを織り成す。
生まれて初めて体験する、瞬く間に姿を変えたその自然の創造美に周囲を取り巻かれ、
胸の中に不思議な感動が広がっていった。
フランス人映画監督のエリック・ロメールが『夏物語』という瑞々しい恋愛物語の舞台として、
この地を選んだことに共感しながら、眼前の光景に身をおけば、
「青春時代の恋心は、一瞬にして日常の風景を一変させてしまう」という一節が、
なんとなく呼び起こされるような気がした。
広々とした浜辺を舞台に、夕陽に演出されて現実離したショーは、心地良い幸福感を胸に残した。
笹倉鉄平
